2010年09月13日

4.木の家らしいつくり方とは

4.木の家らしいつくり方とは

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  「木の家」と言ったときにどのようなイメージをもたれるでしょうか。構造材が木であれば、たしかに木造住宅と言えますね。しかし、柱や梁が隠れてしまった場合にはどのように感じるでしょう?構造としては軽量鉄骨でもよいわけで、なにも構造が木でなくてもよいことになります。


 少なくともここでは、木の家のイメージは構造材である柱や梁が目に見えるような造り方をしている家のことと考えています。いわゆる真壁造のつくり方です。
 木といっても現在では丸太から製材した無垢材もあれば、細い板材を積層した集成材もあります。建物用途によってその使い分けはあると考えていますが、住宅規模の建物であれば無垢の製材を用いたものを木の家あるいは木の建築としておきたいと思いますし、大規模建築では集成材利用は木造の可能性を広げるものと考えています。

 構造材が見えることは、そこに細心の注意を払って造ることが要求されます。造り手にとっては自らの技や経験を生かした造り方を実現できる場になります。造り手が納得して造ることは、住まい手にとっても良い家づくりにつながるはずです。

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奈良県今井町
400年前からの町並みが今も受け継がれている。あまり観光地化されずに、そこでは普通の生活が営まれている。住み継がれている築100年を超える民家(町屋)ばかりでなく、新しく建つ住宅も町並みを保つルールが守られている。

 内部にも外部にも木を構造材、あるいは仕上げ材として使うことによって、まさに「木の家らしさ」を表出できるのではないでしょうか。このことは、日本が木の文化といわれるように、各地に残る民家や町屋を見れば理解できます。これらがもともとの日本の木の家のつくり方でした。

  もちろん、生活の変化や都市化という社会の構造が変化していく中で、家づくりにも変化がおきてきました。「木の家」といっても構法的にもいろいろな造り方が開発されています。しかし、それらが目指しているものが何かを考えてみるとよいと思っています。

 実は、あまり難しく複雑に捉えてもしかたがない、と考えてみると以外に答えは単純が出るかもしれません。「この家は何年持つの?」とか「100年後に今各地で見るような町並みをつくれるの?」とか考えてみてはどうでしょう。
長寿命の住宅であることは、さまざまに工夫がなされ、家族の生活の器としても町の要素としても必要条件を兼ね備えているということです。

 近年は性急にさまざまなことが変化しています。都市という社会構造の影響は大きなものですが、人の生活の基本はそれほど大きく変わることはないはずです。孫子に受け継げる家づくりをするには、先人の知恵をまず学んでみることがどうも近道のように思えます。だから、やはり「木の家」と考えてみたいのです。

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信州小野宿(辰野町)
信州のひとつの民家の特徴である大棟の切妻屋根は本棟造りと呼ばれる。
伊那街道に沿って大きな妻面を向けて点在する民家は見応えがある。屋根の軒は深く、壁の保護に役立っている。棟の上には雀おどしが個性を主張している。
  
s04-02-02-sIMGP2134.jpg外部を真壁とした木の家らしい外観(五香の木の家)

 真壁部分は土壁下地の漆喰塗り。腰から下は雨掛かりへの対応として板張りとしている。
 構造材や板は、陽に焼け黒ずんでくるがそれが木の家の最終の色彩となり、漆喰とのコントラストが日本の木の家らしさと言えるのではないか。
s04-02-03-sFH000027.jpg柱・梁を表しにする真壁造のインテリア

構造材が見えることは、そのまま意匠として室内の雰囲気を決定付ける。間取りと架構は関連して理にかなった空間をつくることにつながる。あま、呼吸する木や漆喰は、心地よい室内環境を得ることができる。

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  古い町並みなどに見られる柱を表し、板張りの表情は木の家らしさの良き好例といえます。しかし、外壁あるいは外部周りについては、防火上の法規制によって、構造材を表したり、板張りで仕上げるなどは、注意が必要です。特に、都市部ではなおさらです。また、耐久性への配慮からは風雨に対する注意も必要になります。

 外壁の下見板張りは、雨を防ぎ、壁内の通気も可能にする昔からの手法で、木の家らしい表情をつくります。現代でいえば外壁通気工法と呼ばれる家の耐久性を高める方法とも言えるでしょう。
 木を外部に使う場合には日焼けや風雨による痩せなどがあることは覚悟しなければなりません。でも、築50〜100年の民家はざらに存在していますから経験的に問題はないでしょう。私たちは民家を造ってきた知恵をもっと学ぶ必要があります。

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準防火地域でも板張りが可能
土壁下地であれば外装に板張りができ、柱・梁も表しの真壁造も可能。さらに、床や天井などの仕上げによってはシックハウス対策の換気扇なども不要にできる。
 石神井の木の家は、準防火地域に建った土塗壁の内外真壁造の木の家です。もちろん、雨掛りとなる部分には土壁保護のために下見板張りとしています。軒裏も木をそのまま現し仕上げとしています。
 こういった造り方も、現在では、壁は防火構造(告示第1359号)、軒裏は準耐火構造(告示第1358号)として法規制の中で明確に位置づけられるようになっています。木は燃えますが、壁や軒裏には燃えぬけるまでの時間がかかるため一定の防火性能があるという考えです。むしろ以前よりこういった木を現す造り方が造りやすくなっています。 [関連記事へ]
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内部は真壁の漆喰塗り
天井の野地板(スギ厚40mm)はそのまま軒裏として外部に出ている。


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 木は日焼けや風雨によって痩せると書きました。太い構造材であれば大きな影響はありませんが、下見板など薄い外壁材では20〜30数年後に大きく反ったり割れたりなど痛み出したら張り替えることで更新いていくことは必要になります。寿命30年程度の住宅ではそもそも問題にはなりませんが、長寿命の木の家では痛んだら取り替えるという発想が基本的には必要になります。メンテナンスフリーはありえません。


 柱の根元が腐朽したり蟻害などを受けたときに、その痛んだ部分を切除して、新規材を継ぎ足す根継ぎという手法はもともと木の家を造る技術が持っている仕組みです。民家などではよく見ることができます。 1300年以上も建ち続けている法隆寺といえども、その伽藍の各所では柱の根元を根継ぎして、手を掛けながら今の姿を保ち続けているのです。

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 縁側柱の根継ぎ大黒柱の根継ぎ 回廊柱の根継ぎ(法隆寺)


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posted by 太郎丸 at 14:53| 木の家考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする