2010年09月12日

5.木を見せて使うということ

5.木を見せて使うということ

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 木は構造材であると同時に仕上げ材として見せて使える材料です。柱や梁が見える力強い架構体はそれ自体でも十分見応えのある意匠性を持っています。隠す必要はありません。しかし、見えるということは造り手にとっては、逃げが少なく緊張感もあり、目を行き届かす部分が多い仕事となることはまちがいありません。ただ、その緊張感は家づくりには重要なことと思います。逆に、大工棟梁には匠の技を発揮できる仕事にできることも間違いありません。

 柱や梁が荷重を支え、その力の流れが見えることは住まい手にとっても安心感につながることでしょう。間取りを考えることと架構を考えることは同時に行うものです。必然的に柱や梁の配置にはその家に応じた一定のルールが出来上がります。また、両者を整合させることが求められます。


 「木を見せて使う」というのは、もともとの日本の木造は構造材が見える真壁が基本でしたから、実はおかしな言い方なのですが、現代では見えない使い方(大壁造)が多いという状況があるのも現実です。
では、構造材である木が見えなくなるとどうなるのか? すこし、考えてみてください。

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骨太の構造材が見える
丈夫な骨組みが目に触れる安心感は住まいへの愛着にもつながる。
  
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 真壁=木が見えることは、木が空気に触れることになります。木に湿気は禁物です。まず濡れないようにすること、もし濡れてもすぐに乾く環境下におくことが耐久性を高めるためには必要です。湿気は木に腐朽菌やシロアリなどの生物劣化を引き起こす要因になります。

 外部であれば、長い軒や庇の出で壁や柱などへの雨掛かりを防ぐ。また、下見板(大壁)にして構造材を覆うことにより材を濡れにくい環境にしておくことなどは有効な方法です。大壁となっても下見板内の柱や梁は真壁と同様に乾燥しやすい状況にあるといえます。これは民家の作り方などから学べる知恵です。外部は雨掛りなどの理由で覆ったとしても内部には木を見せ、空気に触れるようにすることは意識しておきましょう。

 建物の内部では、水回り以外には水で濡れることはあまりありませんから、木は経年変化でほどよく焼け、落ち着きある色合いになります。これは木の家に住む楽しみでもあるでしょう。木も一緒に年をとるのです。 
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下見板の構成
土壁を下見板で覆う施工途中の様子。板の重ね合わせぼ部分は湿度によって隙間が大きくなったり小さくなったりして、壁内の通気が確保できる。
  
木と漆喰でつくる木の家
 真壁造りの壁は左官仕上げによる塗り壁がなじみが良いでしょう。木の色に合う材料としては、漆喰が一番目のお勧めです。

 漆喰は消石灰を主原料に、フノリやツノマタを混ぜ、割れ防止の麻ズサなどの繊維と混合して水で練り合わせたものです。仕上げ表面は適度に固く、防火性も高いこともあり土蔵などの表面仕上げにも用いられてきました。また、調湿機能もあることから、室内環境を整える効果もあり、住宅には昔から一般的に使われてきた伝統素材です。
木と漆喰でつくる木の家
 平滑に仕上げることが左官としては上仕事ですが、顔料や色土を混入するなどして、壁表面を荒らして表情をつけるなど工夫も可能でバリエーションに富んだ工夫可能な仕上げも左官仕事の魅力です。

 漆喰の下地には、土壁など昔ながらの工法もありますが、室内であればラスボード、外壁であればモルタルなどのによる下地の工法も一般的な仕様になっています。
ハンダ仕上げ
半田仕上げの壁
漆喰に黄土を調合して、柔らかな質感を出した壁。漆喰の硬化で壁仕上げとして十分に使え、色土によって雰囲気に変化をつけられる。

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posted by 太郎丸 at 17:41| 木の家考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする