2010年09月11日

6.架構と間取りは相互に関係する

6.架構と間取りは相互に関係する

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  4畳半、6畳、8畳などと日本人は、タタミの部屋の大きさをその畳数で認識できる空間感覚を持っています。このタタミの寸法が、木造架構の基本寸法のよりどころになっていて、柱間の心々寸法3尺(910mm関東間)となっています。この3尺のグリッド上に柱や梁を配置していくことが、構造として無理がなく、間取りとしても素直に整理ができるルールと言えるでしょう。
3尺×nを主に架構のグリットの最小単位と考えてみると、n=1,2,3・・・で、多様な空間単位を作り出すことができます。また、n=1/2,1/3,1/4としてみると棚や家具などの単位として都合のよい寸法関係が作れます。

 3尺×2=1間(6尺 1,818mm)をグリッドの基本単位と考えると架構と間取りを捉えやすくなります。1間×1間=1坪=2畳の関係があります。例えば、梁間3間、桁行5間といえば、15坪。総2階であれば、30坪という感じで建物規模の把握が直感的にも理解しやすい寸法体系です。

 2階建ての場合に、2階を支える床梁の梁間で架構の大枠が決まってきます。その梁間は普通規模の住宅では最大2間(3尺×4、3,636mm)を標準と考えておくとよいでしょう。それを超えることも可能ですが梁の断面が必要以上に大きくなるため、できるなら避けたいところです。

 2間×2間(4坪、8畳間)を柱4本で支える最大の広さと考えておきます。この2間×2間を最大のグリッドとし、この中に3尺のサブグリッドを基本ルールととして架構計画してくとよいでしょう。実際には敷地の形や大きさ、方位などの物理的な諸条件から最良のグリッドを導き出す検討がなされます。

 耐震要素となる耐力壁の配置や大黒柱や差鴨居などもこのルールの中で考えることで、構造的にも安定した架構となるはずです。
 

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  架構をつくれば木の家ができるわけではありません。その架構がつつみこむ生活空間がどういったものであるのか、どういった間取りにすればそれを実現できるのかの検討が大切です。

 「間」を取るという言葉からも、空間であったり、柱と柱の間(あいだ)であったり、それをどのようにしつらえるのかが空間と架構をつくるときのポイントです。
生活しやすく、使い勝手の良い間取りをどのように考えるのか。外的な要因としては、敷地形状や道路の位置、方位、眺望、周囲の状況などがあげられます。住まい手の家族構成や生活イメージ、部屋数、将来の予測などは内的な要因といえるでしょう。

 さまざまな条件で空間(部屋)を間取りますが、架構のルールは常に同時に検討されていなければなりません。特に、架構は構造そのものですから、間取り優先で計画されてしまうと、1階と2階の架構のルールがうまく整合しないなど、構造上でも意匠上でも好ましくない状況を生じてしまう可能性があります。
軸組構法は自由に造れるということをよく言われますが、これも一定の架構ルールの中でと考えることが必要です。梁などの構造材を隠してしまうと架構と間取りの関係性を分離して考えることができなくはありませんが、だからといってごちゃごちゃした骨組みとなってよいわけではありません。「軸組構法は自由に造れる」という考えを取り違えている建物を目にすることは残念なことです。構造材を隠してしまう場合でも基本の考え方はまったく同じではずです。
 

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 住まい手は、今の状況と10年、20年、30年後と同じ生活環境のままということははありません。家族構成が増えれば、部屋を増やしたい、増築したいということもあるでしょう。また、水周りを改修し、広くしたいというようなこともあるかもしれません。生活の変化に応じて家も変えていくということがあります。民家などを見てみても、何度も改修や増築を行い、住み続けられてきたものがとても多く存在しています。こういった事例を見ても軸組構法は増改築のしやすい、可変的な空間造りに適した仕組みを持っていることがわかります。京都の桂離宮は増築を繰り返してきたことでも有名ですが、まさに究極のリフォーム建築といえるでしょう。
ここでは民家の架構を現代の家づくりに参照してみたいと思います。多くの民家は主屋(上屋)と下屋により構成されています。シンプルに、変わらない架構の主屋。生活環境の変化に応じて、広げたり、縮まったりする下屋と考えてみると、耐用性の高い架構体の可能性を見出せます。下屋は必ずしも平屋部分とは限定せず、2階建ての主屋に付属する仕組みと考えてよいでしょう。こういった考えの基本は、どうやって丈夫で長持ちな家ができるのかということに対する耐用性に対するひとつの答えであろうと考えています。

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 主屋:居間、食堂、台所、和室、2階寝室
下屋:玄関、便所、洗面、浴室 
で間取りを構成している


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  ↑ 間取りが変化するイメージ     ↓ 架構のイメージ
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ラベル:架構 間取り
posted by 太郎丸 at 19:02| 木の家考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする