2010年09月10日

7.丈夫で長持ちな木の家をつくる

7.丈夫で長持ちな木の家をつくる

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 構造材に使われる樹種には、スギやヒノキ、マツなどの針葉樹やケヤキ、クリどの広葉樹があり、それぞれに特徴が異なります。

 まっすぐな柱には通直なスギやヒノキが適し、梁には曲げに強いマツなどが選ばれています。地際に近い部分の土台には耐久性が求められますから、腐りにくくシロアリにも抵抗力のあるヒノキやヒバ、あるいはクリなどが選ばれています。

 同じ樹種であっても、年輪数や目の詰まり方、材全体の目の曲がり具合、丸太の周辺部の白太や中心部の赤身のバランスなどの見極めも必要となります。見え掛り上では節の程度も意識はされるでしょう。

 適材適所に樹種を配することが建物全体の耐久性を高めて丈夫につくるために受け継がれてきた木の技術なのです。
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  ヒノキの土台
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  クリの土台
 戦後植林された木は現在では十分に成長しています。スギ材でも比較的大きな断面で入手が可能になっていますので、梁などにも用い易くなっています。構造材の断面を大きめにすることは構造面でも有利ですし、耐久性を高める方法としても有効でしょう。

 また、好みもあるでしょうが、木の太さは成長してきた時間の蓄積ですから、その存在感はその家にとって、とても重要な要素になるものと考えています。

 現在、入手しやすく使い易い材料をどのように料理していくのかということもつくり手の大きな役割のひとつと考えています。
 
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  マツの床梁
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  スギの床梁
  大きな断面も入手しやすくなっている

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  物理的に耐久性を高めることは、木の家の長寿命化につながることは理解できます。しかし、実際に家の寿命を決めている大きな要因は、住まい手の生活変化による状況によって、立替えなどが行われるためでした。耐久性ではなく耐用性に問題がありました。家の寿命が30年程度と統計的に言われているのもそのためでしょう。30年は一世代の期間でしかありません。大量消費の時代はすでに過去のことです。
 根っこの生えた家づくりの考え方が必要でしょう。そのためには家の多様な使い方(住まい方)の変化に家の造り方が対応できることが材料の使い方と同時に大切です。そのためにはそれを踏まえた考え方で間取りと架構を計画することです。


 スケルトン・インフィルという考え方があります。変わらないメインの架構体と間仕切りや家具などによって空間の形を変化させられる仕組みを取り込んだ造り方です。RC造のマンションなどで考えられていましたが、先の主屋と下屋のところでも触れましたが、もともと民家はそういった仕組みでできていました。部屋を細かく壁で仕切って全体をつくるよりも、大きな空間(開放的な架構)を自由に仕切り分けるという発想です。


 大きながらんどうを造り、その中を家族の人数が増えたり減ったりなどその時の生活に合わせて家具や間仕切りでゾーン分けをしていく。軸組構法は増改築しやすい造り方ですから、敷地に余裕があれば外側に向かって増殖(増築)していくということも容易に考えられます。

 
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 2階に「がらんどう」をつくっています
家具や本棚、建具、間仕切りパネルなどでゾーン分けして生活の変化に対応していこうとを考えです。
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 どんなに優れた製品であってもメンテナンスができなければ、その時点で使えなくなってしまいます。短時間で変わっていける車や電化製品などであれば新技術こそが、豊かな生活を実現することにつながります。予備の部品も一定期間在庫しておけば、新しい製品に移行していきます。10年から15年、せいぜい持っても20年ぐらい。


 しかし、住まいは短くても数十年、ここでは100年以上、世代間に住み続けられることが必要だと考えていますから、その建設を可能にした技術も同等以上に継承されていく必要があります。木造の技術がつながっていないと、増築も改修も、次代に新たに造ることもできなくなります。

 今でも大工棟梁を中心に木の家づくりを実現できる職人衆は受け継いだ技術を持って活躍していますし、その技術の継承は、生業として木の家を造り続けていくことで可能となるものと考えています。

 一方でプロとしての職人育成のプログラムが各地で行われていることは、木の家づくりの担い手の必要性が社会として問われているためで、技術継承の機会が減っていることの裏返しともいえるでしょう。これは、建築に限らず、日本のものづくり全体の課題ともなっていることです。木の家が建つことは、そのまま技術継承が行えたと言えるのです。

 
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posted by 太郎丸 at 19:20| 木の家考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする